2017年02月24日

今の経済の仕組みの根本的な矛盾


今日、私たちは、お金を媒介体として、物やサービスを交換しながら生活しています。必要な物やサービスはお金で購入します。物やサービスの中には、消費してすぐになくなってしまうものもありますし、資産として永く残るものもあります。一方、こうするのに必要なお金は、何らかの方法で取得します。

このように、生活するためには、何をするにも、お金が必要です。お金は収入と支出がその都度計算され、お金に余裕があれば、さらなる購入をするか、貯めておくことが出来、不足していれば、借りるか、さらなる収入源を得る必要があります。


この収入と支出の単純な仕組みは、すべての個人や家庭、組織に当てはまります。国も、企業も、家庭も、公共団体も、いかなる組織であったとしても、この仕組みの中で活動が営まれています。

それで、お金が不足しないように、それぞれの組織が様々な知恵を絞って、収入が支出を上回るように考えています。

企業は売上を伸ばすことと経費を抑えることを考えますし、家庭も収入を増やすことと出費を抑えることを考えます。政府も財源について考え、財政支出について考えます。公共団体も同様です。

収入を伸ばし支出を抑える努力はそれぞれです。企業は、より売れる商品の開発に力を入れ、コストをなるだけ抑えるように管理します。国や公共団体は、より効率的な財政運営をするためにどこに予算を配分するかを検討し、財源について税率などを検討します。家庭においても同様です。


それぞれがそれぞれの収入と支出について考えるのですが、ここで大きな問題は、収入は必ず誰かの支出を伴っている、ということです。これが、経済が、他の課題と異なる最大の相違点です。他の課題、例えば、陸上競技で記録を出すとか、画家が素晴らしい絵画を描くとかいった課題は、何かを伴うものではありません。それらに順位をつければ別ですが、基本的にはそれ単独で成り立っています。しかし、経済においては、収入は必ず他者の支出を伴います。しかも、同時に伴います。


ところが、そうであるにも関わらず、今日の経済の仕組みは、これを考慮しないまま構築され、そのまま運営されています。すべての人と組織が収入を支出より多くすることを考えますが、収入が必ず他者の支出を伴っているがゆえに、‘すべての人と組織が収入を支出より多くすること’は、‘出来ない’のです。これは、人々がどんなに頑張っても、どんなに働いても、どんなに知恵を絞って画期的な手法を考えても、変わることはありません。また、収入とこれに伴う他者の支出は、必ず同時に発生します。したがって、これは、成長という時間軸とも関係を持てません。すなわち、今の経済の認識は、根本的に間違っているのです。そして、間違った認識のまま、仕組みが構築されています。これは経済の成長・規模のいかんにかかわりません。これが、あらゆる矛盾が噴出する根本原因です。


例えば、税率は上げたらいいのか下げたらいいのかという問題は、いつも国会で問題になりますが、永遠に答えが出ません。間違った認識と仕組みの上で議論しているので答えが出ないのです。

税率を上げれば、国の収入は増えるでしょうが、支払う国民の側は多く支出しなければなりません。税率を下げれば、支払う国民の側には余裕が出来ますが、国の収入が減ってしまいます。いずれにしても、税率は、お金をどちらが取るかという問題です。

国が財政健全化のために支出を減らせば、仕事を請け負う国民側の収入が減ったり、社会保障が手薄になったりします。逆に政府が景気浮揚の財政支出をすれば、国民の所得は増えますが、国庫金は減ります。

企業がよりよい商品を開発し売上を増やすことは良いことですが、その分消費者が支出を増やしています。また、需要の度合いによっては他社の売上を減らしてしまうこともあるでしょう。

企業が支払う賃金も同様です。企業にとっての労務費支出は、労働者にとっての賃金収入です。労使交渉はまさにこの駆け引きになります。企業や経営者を中心とした側と労働者を中心とした側は右と左に分かれて争ってきましたが、いくら争ってもお金はどちらかにしか行きません。

株価が上がれば景気がよくなったように感じますが、株の売買も、必ず、買う側と売る側が存在します。株価が上がれば上がった金額で、下がれば下がった金額で、お金の受け渡しがされるのですから、株価が上がったからといって国民の所得が増えたわけではありません。ある人が安値で買って高値で売ればその人の収益にはなったでしょうが、その裏で、必ず誰かがその安値で売り、また、誰かがその高値で買っています。

貿易においても、貿易黒字は必ず他国の貿易赤字を伴います。輸出が相手国の輸入を必ず伴っているからです。


それにも関わらず、今日の経済は、‘すべての人と組織’が、‘収入を支出より多くすること’を考えています。すなわち、根本が解決されていないのです。いつまで経っても経済問題が解決されないのはこのゆえです。

今日の経済の仕組みは欧米の個人主義を背景に築き上げられてきました。個人主義では、自分の収入を大きくすることは考えますが、他者との関係は考えません。自分の収入が必ず他者の支出を伴うことまでは考えてこなかったのです。これは根本的な矛盾を孕んでおり、間違っています。この問題を解決しない限り、どんなに社会が成長し発展し規模を大きくしたとしても事態は一向に良くなりません。

個々の経済主体が利益を大きくしようとするのは当然でしょう。これは間違っていません。しかし、この考えをはじめに持ってきたのでは正常な社会にはならない、ということです。たとえあとから不足な部分を補ったとしても、もとの構造が間違っているので、根本的に解決出来ません。全体の構造は、ここからは出てきません。

貧困の問題や財政破綻の問題など、現代社会は深刻な問題をたくさん抱えていますが、これらの問題が発生する根本的な原因はここにあり、これを考慮することで解決への道が開かれます。

戦争やテロを含む様々な紛争も、個人主義が原因です。500年前から、自己の利益を優先し、その実現のために武力の行使をも伴いつつ、世界に拡大していった今日の世界経済は、未だに様々な国際紛争に悩み続けています。


ですから、世界中を混乱させているこの問題を解決するためには、自己の収入が必ず他者の支出を伴っているという点を考慮して、経済全体の仕組みを再構成しなければなりません。


すると、見えてくるのは、貨幣を循環させる仕組みです。個人の収入と支出が、隣人の支出、収入に連鎖していることを考慮しますと、お金は循環する仕組みでなければならないことが見えてきます。個人を先に考えるのではなく、お金が循環する仕組みをまず構築しなければなりません。その仕組みの上にすべての人と組織が乗り、それぞれの収支を考えるようにすれば、お金は永遠に回り続け、すべての人と組織が正常な活動をすることが出来るようになります。

貯蓄機能については、別の形で貯蓄出来る形態をつくり、貯蓄が貨幣の循環と矛盾しないようにすれば、貯蓄機能の問題は解決出来ます。システム的には現行の入出金残高記録方式のままで変わらないでしょう。

そして、この循環の仕組みを突き詰めていきますと、下図に示したような共同所有貨幣制度(一つの財布)になります。

お金を矛盾なく循環させるために、国民の入金・出金は、預け入れ・払い出しではなく、政府発行の有価証券の買い入れ・売り渡しにします。残高記録が有価証券の役割を果たします。


これで、これまで、お金の取り合いで収拾のつかなかった国の財政問題など、すべての問題は解決するでしょう。
所得の再分配も、財源や景気の動向で支障を来たすことなく、必要なところに必要な分配が出来るようになるでしょう。
世界で起きている貧困や貿易摩擦の問題も、世界的な貨幣循環の仕組みによって、解決することが出来るようになるでしょう。

共同所有貨幣制度
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現在の制度
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posted by 若枝 at 22:06| Comment(0) | 金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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